01 — ABOUT

なぜ、演劇なのか。なぜ、演劇なのか。

この劇団が始まった理由を、原点から未来まで、五つの章で綴ります。

CHAPTER 01原点

観客に届かなければ、始まらない。観客に届かなければ、始まらない。

今まで、小劇場をはじめ、いろいろな舞台を観てきました。その中で、ときどき感じていたことがあります。作り手が見せたいものを表現することが優先されすぎて、観客が観たいものを届けるという、エンターテインメントの大事な部分が弱くなってはいないだろうか。

芸術的な表現や、実験的な演出を否定したいわけではありません。舞台にしかできない挑戦は、きっと必要です。

けれど、演劇はまず観客に届けるものです。作り手が見せたいものをそのまま差し出すのではなく、観客が観たいものを通して、その奥にある伝えたいことを届ける。その順番を、大切にしたいと思いました。

「観客が観たいもの」を通して、作り手が伝えたいことを届ける。「観客が見たいもの」を通して、作り手が伝えたいことを伝える
CHAPTER 02方法

まず、楽しんでもらう。まず、楽しんでもらう。

だから、私たちは喜劇を中心に作品をつくります。ただし、面白いことや笑えること自体が、最後の目的ではありません。

笑いは、観客が作品に興味を持つための入口です。登場人物を好きになり、物語にのめり込み、そこで起きていることを感じたり、考えたりする。その扉を開くために、まず面白くありたい。

ただ笑えるだけでも足りない。ただ「すごい」と思わせるだけでも足りない。けれど、楽しんでもらえなければ、その先にあるものを受け取ってもらうこともできません。

演劇は、面白くなくちゃいけない。演劇は面白くなくちゃいけない。

CHAPTER 03目的

人生に、小さな波紋を。人生に、小さな波紋を。

観客には、あくまで観客として物語を楽しんでほしいと思っています。そのうえで、舞台を観ながら、ほんの少しだけ自分自身のことも考えてもらえたら。

もし自分がこの物語の中にいたら、どうするだろう。何を言うだろう。どう生きるだろう。そして、ふと立ち止まる。

今、自分はどう生きているんだろう?

作品を観たことで、人生が劇的に変わる必要はありません。次の日にはほとんど忘れてしまうような、小さなものでも構いません。

それでも、いつか何かを選ぶとき。誰かと話すとき。自分自身について考えるとき。あの日の舞台が生んだものが、小さな波紋として残っていたら、そこには意味があると思います。

世界中から酷評される作品だったとしても、たった一人の人生に波紋や傷跡を残せる作品でありたい。その結果を、作り手は一生知らないかもしれません。それでも、その可能性のためにつくります。

たった一人でも、誰かの人生に波紋を残したい。たった一人でも、誰かの人生に波紋を残したい。
CHAPTER 04自分自身

できることから、はじめる

世界が、ほんの少しでも良い方向へ変わってほしい。そう願ってはいても、一人の人間がいきなり世界を変えられるわけではありません。

だからまず、自分の身近なところから始めることにしました。

そして、自分ができることを振り返った時、そこには演劇がありました

天は二物を与えず俺には演劇の才能しかない

正確に言えば、自分にあるものの中で、唯一マシなのが演劇だった。それ以外は何もできません

そんな男に世界は変えられない。でも、演劇ならできる。

自分にできることを使って、目の前の一人に何かを届ける。

このとき、すべてが走り始めました

CHAPTER 05未来

未来を、あきらめない。

かつて人々が思い描いた未来では、科学や技術は進歩し、暮らしは今より豊かに、便利になっていくと信じられていました。その未来の街では、クルマは空を飛んでいると想像されていました。

それは、ただ新しい乗り物が生まれるという話ではありません。今より明るい明日がやってくると、人々が信じていた未来の風景でした。

けれど現在、未来は今より良くなると素直に信じることは、以前より難しくなったのかもしれません。

「未来は絶望しかない」。そう思っている人もいるでしょう。何もかもが苦しくて、諦めたくなる人も、たくさんいるでしょう。

でも、諦めたくない。

空を飛ぶクルマをつくる技術はありません。世界を一気に変える力もありません。

でも、俺には演劇がある。

演劇で、目の前の一人の心に小さな波紋を起こす。その波紋が、いつかまた別の誰かの心に波紋を起こす。

一人に生まれた小さな変化が、誰かへ、さらに誰かへとつながっていく。

そんな小さなことを積み重ねた先に目指すのは、みんながかつて思い描いていた、あの明るい未来――

そう、それが

劇団 とぶクルマ